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読書日記h1

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本が好きなことの幸せ

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 シルバー割引で映画を見に行った。
 「すごいよね。800円得したね。」
 「どんどん映画を見に来よう。ウッハハハ」
 シルバーと私が言ったとき、チケット売の女の子は私の面を見て、すーっと券を出したのだ。
 私は「アンタ年いんちきしてない?」と疑いの目で見て欲しかったのだ。
 私は驚いていたのだ。他人にもシルバーに見えるんだ。
 いつの間に63になったのだ。ワシャ知らん。本当に知らんかった。

 9キロのタヌキ猫、フネがすい臓がんになった。
 アチコチ転移していて、手術は無駄だと言われた。
 食も細くなり、3キロ痩せた。
 私は一番高い猫缶を買った。
 小さな皿にスプーン一匙を取り分けて、フネの鼻先に持っていった。
 フネは口を開けず私の顔を見た。
 「ねえ一口でも食べてよ。」フネは舌を出して一回だけなめた。
 私の声に一生懸命答えようとしている。
 おまえ、こんなにいい子だったのか、知らんかった。
 時々、砂箱に小便に行った。
 時々水だけ飲んでそのうち垂れ流しになるのだろうか。
 垂れ流してもいいからね。
 垂れ流してもいいんだよ。
 でもなるべく垂れ流さんでくれる。
 
 約一ヶ月殆ど食べない状態で生き続けた。
 私は毎日フネを見て、みるたびに人間が癌になる動転ぶりと比べた。
 ほとんど一日中見ているから、一日中人間の死に方を考えた。
 考えるたびに粛然とした。
 私はこの小さな畜生に劣る。
 この小さな生き物の宿命である死をそのまま受け入れている目にひるんだ。
 その静寂さの前に恥じた。
 私がフネだったらわめいてわめいて、その苦痛をの郎に違いなかった。

 以上はこの本の抜粋だが、歯に衣を着せない有りの侭の痛快なエッセイを書く佐野洋子さんが
 去年の7月に乳がんで亡くなった。そのギャグ的エッセイが面白くて身にしみて大好きだった。
 
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by huutyann1 | 2011-05-31 18:24 | Comments(0)

 「いざ 別れの時が来た。さようなら兄弟たちよ!
 君たち皆にお辞儀をして私は旅に出かけよう。
 ここに私の扉の鍵をお返ししよう。
 こうして私は家の権利をことごとく放棄する。
 今は君たちの口から最後の優しい言葉だけが聞きたい。
 私たちは長い間隣人だったが、私は自分が与えるものより多くのものを受け取った。
 今、夜が開けて、部屋の片隅を照らしていた灯は消えた。
 お召が来たのだ。
 そして私は旅支度を整えている。」
  
  インドの詩人・画家。才能を多方面で発揮したタゴールの詩。日野原さんの好きな一節。
  日野原さんの本を沢山持っていて、私に貸してくれる人がいる。
  お陰で日野原さんの本を何冊か読んだ。100歳で現役医師。すごい。
  
 
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by huutyann1 | 2011-05-06 08:10 | Comments(0)