ブログトップ

読書日記h1

huutyann1.exblog.jp

本が好きなことの幸せ

<   2011年 07月 ( 1 )   > この月の画像一覧


 「もうひと泳ぎしてくるかな?」と、ジーコが言ったとき
 僕はジーコがこのままアメリカまで泳いで行って、二度と帰ってこないような気がして、彼を引き 止めた。
 でも彼は泳ぎだした。
 そしてそれきり帰ってこなかった。
 
 彼は9月の海底に藻に絡まれて沈んでいた。
 ジーコは警察の霊安室に白装束に身を固め、安置されていた。
 すべてが虚構じみているように感じられた。
 人が死ぬということのリアリティが彼の死には欠けているように思えた。
 人は皆、自分の死を体の奥深くに宿している。
 それが次第に成熟していって、全体を覆うとき人は死ぬ。

 祖父母も祖父もそんなふうに死んでいった。
 ところがジーコの死はとても無造作で、どこか乾いているように思えた。
[PR]
by huutyann1 | 2011-07-12 08:46 | Comments(0)