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読書日記h1

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本が好きなことの幸せ

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 すべての生命は死に絶える。
 それが第一の宿命であれば、第二の宿命は死に絶えることが決まっているのに生きようとする生命。
 火峯自身は戦場で肉体を貸与えていた時、溜め息混じりに決着のゆくえをながめていた。という感じで
 苦しみも喜びも、表情に現れなくなっていた。
 年末のある日呼吸音に濁音が混ざり始めた。
 日に四・五回痰を吸引していたのがやがて、二時間おきになってくると、顔つきそのものが変わってきた。
 長年の酒と赤ら顔が黒く小さく縮んできた。
 唇のあいだから覗く舌も枯葉の色に変わっていく。
 これが死相なのかと千桐は冷静に観測したり、不意にこみ上げてきて火峯の体を揺さぶったりした。
 人の死は悲しみの塊まりがごろごろと流れてきて、体を打ち付けられたり逃げようとしてもっと大きな塊に
 押しつぶされたり、とにかく右往左往して時の流れをやり過ごすしかない。
 火峯の享年は86歳。
 この数年は老体の何処にどれほどの病が巣食っていたのか、医者自身も把握できないほど合併症が
 巣食っていた。・
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by huutyann1 | 2015-02-26 20:47 | Comments(0)
 
  昨年の梅雨時は随分しんどかった。
  横断歩道を自転車を支えて立っているだけで、精一杯だったような気がする。
  あの頃の苦しさを今はリアルには思い出せない。
  こうして忘れられるからこそ、人はなんとかやっていけるのだろう。

  奈津はもう、何を言われても反発する気にはなれなかった。
  言い返すのは相手の変化を期待するからだ。
  期待そのものを手放してしまえばもはや言い返す必要もない。
  自分はいろんなことを諦めかけているのだと奈津は思った。
  「諦める」という言葉は「明らかを極める」という意味から発しているのです。
  悩み事に正面から向き合って問題の本質を明らかに究めるという意味から来ている。
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by huutyann1 | 2015-02-04 17:19 | Comments(0)